先日、姪っ子の誕生日祝いに実家に帰った際、母に近況を聞かれてweb3/NFTの話をすると、『あんたそんなんしてて大丈夫か?ちゃんとした仕事もせなあかんで』と全く理解できない感じで、一般的にも母親的にもまあそりゃそうだよなと思いました。オカン、大丈夫や。俺のこういう性格は今に始まったことじゃないぞ。あ、だから心配してるのか。笑
さてさてクリプトアート(または"OGアート"と呼ばれることもある)ですが、
2021年10~11月ころの海外のNFTバブル期に参入した私は、新しいプロジェクトの情報を追う日々に明け暮れて、クリプトアートと呼ばれるアート作品を見たことはあるものの、その背景を全く知らずに過ごしていました。
そして今、NFTの歴史を辿りクリプトアートの背景を調べると、それはとても希望と挑戦と遊び心に満ちた、魅力的なスペースでした。
※当ニュースレターの下線部はリンクを添付しております。
Rarepepe
当記事のテーマはNFTの歴史ではありませんので詳しくは別の機会とさせていただきますが、
2016年、Joe Looney氏はクリプトアート革命をリードしていました。
ゲーム用途や新興プロジェクト以外でシンプルにアートとして作成されたという意味で、様々なNFT歴史専門家からクリプトアートの出発点と評価されているのは、ビットコインチェーンのプラットフォームCounterpartyを利用してビットコインチェーン上にトークン化された、Rarepepeカードというmeme(ミーム)アートです。
Rarepepeについて調べるとその仕組みはとてもユーモアに富んでおり、Joe Looney氏をはじめとする初期のイノベーター達が手掛けているだけのことはあり、とてもおもしろいコレクションです。
Rarepepeからクリプトアートの歴史が始まったとするならばERC-721どころかNFTという名称もまだ生まれておらず、ビットコインチェーン上で作成されていたことになります。
その他にも、ビットコインチェーン上でいわゆるクリプトアート以外のNFT(ゲームやドメイン、日本のアイドル系など)は存在していますが、今回は割愛します。
Rarepepe以降の2017〜18年ころ、デジタルアート界で活動していたクリエイター達はクリプトアートという新しいアートカルチャーに出会い、イーサリアムチェーンでクリプトアート製作活動が活発になっていきます。
XCOPY、Alotta Money、Hackatao、josie、ROBNESSなど、幅広いジャンルのアーティストがクリプトスペースに集まりました。Robbie Barratは2018年にAIアートをSuperRareで販売しており、クリプトアート界におけるAIアートの先駆者と言えるでしょう。
さて当記事のテーマである、彼らの作品ようなクリプトアートとNFTアートの違いは何でしょうか?…
2010年代後半のクリプトアートカルチャー初期、NFTという言葉がまだあまり浸透していないころ、SNS上でデジタルアートを発表していたアーティスト達はブロックチェーンにのせたクリプトアートの可能性に興奮しました。
これまで改ざんやコピーが簡単にできていたデジタルアートが、歴史上初めて個人が所有できるようになったことでコレクター達はクリプトアーティストを支持し、そしてアーティストは人生で初めてアートで持続可能な生計を立てれるようになったのです。
そこにはまだ投資という空気はほとんどなく、誰も投機目的のために入ってきていませんでした。
クリプトアートスペースコミュニティは、アートやミーム、GMやWAGMIなどのスラングを楽しみ、ユーモアを共有するニッチなサブカルチャーでした。
その中でも特に社会風刺とユーモアを交えた独創的なアートを創作するAlotta Money氏は、NFTスペースにおけるコミュニティの意味を深く理解していました。
NFTが生み出す仲間意識を理解しており、スペースの多くの人から愛され、彼が亡くなった時は有力者から一般コレクターまで、たくさんの偲ぶ声が寄せられました。
ちなみにですが、クリプトアート(OGアート)の中で私が最も好きなアーティストはAlotta Moneyです。
Super Rareで出品されたアートの数々と、細部まで世界観を表した天才的な公式サイトをぜひご覧ください。
Super Rare
https://superrare.com/alotta_money
公式サイト
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自身のギャラリーを閉めて2017年にクリプトアートにフルコミットしたVesa Kivinen氏は、2020年のインタビューでこのように述べています。
『クリプト・アートの未来は必ず美しいものになると思っています。このようなアート作品は、ブル・マーケットに突入する直前の状態にあります(2020年のインタビュー時)。クリプト・アートの領域においては、アーティストとコレクターの数が釣り合っていない状態だと思うからです。
コレクター達は、徐々にNFTの世界に入り始めていて、現実世界の物理的なアート作品で生まれる多くの問題が、暗号通貨で解決できることを理解し始めています。』
『(コラボアートを成功させて)現在も新しい出会いを求め続けています。
私は、人類発展のためのツボを見つけ出し、その下で沸き立つ芸術を表へと引き出すために、このクリプト・アートという世界にいます。
皆に開かれた暗号通貨という世界がもたらす美しいプラットフォームを通して、それが可能になると考えています。
ウォール街支持派のアーティストはいないですし、反ビットコイン派のアーティストも存在しません。
この世界では、ほとんど全てのアーティストが暗号通貨を支持しています。非常に独善的であり、それぞれに大きく異なるアーティストというコミュニティで、ここまで同じ様な声が挙げられる状況は人類の歴史を遡ってもなかったと思います。』
Kivinen氏も多くのクリプトアーティストと同じ様に、現物アートには不可能だったクリプトアートならではの可能性を見いだし、
同じ可能性に魅了されたアーティストが集まるこのスペースだからこそもたらされる出会いに大きな希望を抱いています。
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『Jason Bailey:2018年初頭に初めて入ってから、このスペースで一番変わったことは何ですか?また、現在最も楽観視している点、懸念している点は何ですか?
XCOPY:最大の変化は、明らかにNFTのスペースの大きさが大きく成長したことです。この技術を使って何をするか(新しいフォーマットやインタラクションなど)楽しみですし、このメディアでしか存在し得ないアートをもっと見ることができるようになると想像しています。
私は、ネガティブなことにあまりエネルギーを使わないようにしています。
アートを作り、このような形で配信し、多くの人とつながることができるのは、とても素晴らしいことです。
アーティストにとっても、より多くの人に自分の作品を見てもらうための新しい方法であり、ワクワクします。』
クリプトアーティストの代表格であり数々の高額落札記録を持つXCOPY氏は、彼の参入以降、様変わりしたNFTスペースの中で今もなお前向きに新たな製作活動にチャレンジし、新たに誕生し活躍するアーティストに期待し、このスペースへの可能性を信じています。
クリプトアートとNFTアートの違い、それはブロックチェーン上のテクノロジーの違いというよりも、市場を含むカルチャーの転換期でわかれているという事が分かってきました。
さらに理解を深めるべく、クリプトアーティストの方からリアルなお話を聞いてみたいと思います。
次回、第三回目のPalClassは、日本におけるクリプトアートの先駆者メラタケルさんをゲスト講師としてお招きします!
皆さま、ぜひご参加ください!