2023年1月現在、flipperや転売ヤーと呼ばれる短期トレーダーが、お金稼ぎのためにNFTを短期売買することの影響でpump & dumpまたは数日間でじわじわと大きく値下げして、floor priceが低迷してしまうということが問題視されています。
Web3の自由市場という側面が及ぼすこのような影響により、海外のバブル期には『トレーダーの餌食になるから怖い。』といった声が多数あったのは確かです。
Gary氏とnftnowは昨年のイベントで『1年前に言っていました。市場はしばらく低迷してNFTプロジェクトの97%は消えてしまうだろう。それはNFTsの夜明けです。NFTスペースは短期的で貪欲な行動が多かった。』というような旨の内容に言及しています。
最近では【運営がガチホを推奨しているプロジェクト】が国内外に出てきており、賛否の議論を巻き起こして注目を集めております。
私は『市場が答えを出すだろう』という立場のため、特に賛否はありませんが、それぞれがどのようなアプローチを取っているのか興味深いためまとめてみました。
この事象はいわば、バブル期を経て起きた【NFTの現在地】です。
まず日本のガチホを推奨しているプロジェクトですが、有名なものにLLACがあります。
LLACのマーケターであるイケハヤ氏はガチホを推奨しており、ガチホ文化のコミュニティを構築しています。
また『CNP、LLAC、APP』の三銘柄をガチホしている人には、イケハヤ氏のコミュニティ『ICL』で応援しているプロジェクトのALを貰える可能性や、今後何かしらの恩恵を受けれる旨を示唆しています。
イケハヤ氏の動きに対して賛否は様々ですが、ガチホ文化のコミュニティ構築を実現させるのは容易ではなく、安易に真似て出来るものではないでしょう。
どのような思想のコミュニティであれ、短期間で多くの支持者を集めるには、これまでの影響力を築くための積み重ねが必要になります。
その背景として、イケハヤ氏は2010年代後半の仮想通貨が冬相場で人がいない頃から独自の発信を続け、積み重ねてきたことが活かされているのではと思います。
ただ、『ガチホしてくれ』とお願いするだけではさすがに長期間はもたない、そしてpfp系ジェネラティブコレクションの乱立で、ALの価値は徐々に衰退していく事が予想されます。
しかし独自の経済圏を構築することで、SBTの活用や、ゲームやアニメなどのエンタメで経済をまわしてホルダーに還元していくとすれば、ALとは違ったアプローチで発展していくことも出来そうだとも勝手に思いました。
今後の動きも注目です。
海外では9gagsのmemelandというプロジェクトがあります。
9gagsのCEOもガチホ文化のコミュニティを構築することを明言していますが、
こちらも海外では賛否があるようです。
memelandは、非管理型のステーキングシステム【Growing】という、海外ならではのインセンティブ設計を採用しており、
POTATOZというNFTをGrowingすると長期にわたって5段階に絵柄が変わり、$MEME、ALのスポット、NFTのドロップ、リアルイベントへのアクセスなどが与えられます。
またチケットを集めて毎週の抽選に参加できるそうです。
過去には『マクドナルド1年間無料』や、『スポーツジム用の$1,000の給付金』などがあったそうです。
シンプルで生活に馴染みのある賞品はとても面白く、話題作りとしても巧みです。日本でも法律的にOKにしてくれたらこんなプロジェクトをやってみたい人も多いのではないでしょうか。
ステーキングやイベントにより絵柄が変わったり、ALがもらえるなどの仕組みだけでもゲーム性があり、とてもユニークです。
Memelandは、2008年に開設された香港のミーム中心のエンターテイメントサイト9gagを母体とするWeb3のベンチャースタジオです。
これまで様々なソーシャルメディアプラットフォームで2億人以上のフォロワーを築いてきた9gagは、2022年4月にMemelandを発表しました。
つまり、Memelandが何故ここまでユーモアに溢れるプロジェクトなのかと言えば、その名の通りギャグで世界シェアトップクラスの実績をもつサイト運営会社だからです。
Facebookが大ブームのころには世界中でおもしろ画像が拡散されて、必ず一度は見たことがあると思います。
https://www.facebook.com/9gag/
また9gags memeland NFT プロジェクトのアドバイザーや投資家には、Gary vee氏やKevin Rose氏などのマーケットメイカー達が名を連ねています。
インターネットの歴史で実績をつみ重ねてきた9gagsは、大衆が何に関心を持ち、どの様に動くのかのデータをたくさん持っていることでしょう。
9gagsの歴史からすればNFTプロジェクトはまだまだ始まったばかりです。
マクロ市場の動きや業界の技術開発の動きをみながら、マス層へのアプローチに取り組んでいます。
世界の様々なトップコレクションは、IPやブランド力を利用したリアルとデジタルの融合に向かっています。
リアルイベントやフィジカルの展開、$MEMEトークン戦略で、ソーシャルメディアマーケティングを通じてマス層へのアプローチが始まれば、9gagsの勢いはさらに増すでしょう。
こちらも今後の動きに注目です。
参考記事
https://nftnow.com/guides/9gags-memeland-meet-the-studio-behind-the-potatoz-and-captainz/
最後に、こちらはガチホ推奨というよりは、短期トレーダーや投げ売りによるブランドイメージの毀損から保護したり、ゲーム内経済の安定を保つための提案として、とても興味深い新しい規格の提案が発表されました。
Digi Digakuで有名なLimit Break社の提案です。
ERC721に対応するそうで、NFTをステーキング→ラッピングされたNFTを新たに発行する方式を採用とのことです。なので既存のNFTコレクションにも対応しています。
その機能は大きく二つあり、
一つは運営やクリエイターがコレクション全体または個別のNFTの価格を、コントラクトで設定できるというものです。
つまり最低価格3ETHと設定されら、ホルダーは3ETH未満の価格で売ることがでない。そのことで投げ売りを防げるという仕組みです。
また最高価格の設定や、徐々に上がっていく設定もできる様です。
とても興味深い取り組みですが、Web3/NFTスペースからは、
『運営が価格をコントラクトで設定するのは強制的であり、所有権を持つホルダーの自由が制限される。つまりWeb3的な自由市場に反する中央集権的ではないか。』
といった声が出てきそうでもあります。
もう一つは、ロイヤリティの配分もかなり細かく設定できるというものです。
初期ホルダーはその後転売されていってもロイヤリティが配分されたり(何回目までの転売までの細かい設定もできる)
長期ホルダーは、ロイヤリティを保有期間によって決められた額を配分される。
といったものです。
二つとも、今の市場への問題提起としての規格の発想はとてもおもしろい取り組みであり、これはまた市場がどう判断し答えを出すのか注目したい事柄です。
2021年から2022年初頭まで続いたバブルを経て、2022年中頃から2023年1月現在まで世界的な冬相場が続いている今、
これまでに抱えた市場の問題への取り組みに、各プロジェクトが様々なアプローチを試みています。
バブル期に溜まった”膿”を出すために起こるべくして起きたといわれる冬相場。
その間に膿を出して、本格的なNFTテクノロジーの時代、成熟期がやって来るのは数年後と多くの有識者の見解です。
しかし今できることに積極的な取り組みは、今年も多く見られ、色々な話題が尽きないことでしょう。
これらのような市場に影響力を持つ世界の様々なプロジェクトの動きに、今年も目が離せません。
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【TwitterスペースPalClassの告知】
ところで先述のとおり、世界の様々なトップコレクションは、IPやブランド力を利用したリアルとデジタルの融合に向かっています。
https://nftnow.com/features/veefriends-and-gary-vee-on-what-your-web3-strategy-should-be-in-2023/
https://nftnow.com/features/pudgy-penguins-ceo-on-building-a-sustainable-web3-enterprise/
そして日本にも、リアルとNFTを結びつけることに強い特性のポジションを持つクリエイターが何名かおられます。
その一人である尾花さんは、オフィシャルで競馬界のイラストを手掛けるクリエイターでありながら、2021年の下半期にWeb3に参入。NFTコレクション【RHC】を発表しました。
日本のクリエイターさんの中には、本業で活躍されている方が2021年にNFTに入り、まだ日本では盛り上がらずにNFT活動を休止されて本業に絞った方も少なくありません。
尾花さんは、絶やさずにずっと両立して続けておられるうえに、両方とも着実に人気を上げておられます。
多忙を極めるなかで、尾花さんは全国各地で開催されるリアルイベントにも積極的に参加し、『イベントに行けば必ずいる』と噂されるほどです。
また昨年には馬主になり、『トランザクション』という名をつけて話題を呼びました。
そしてpfp系ジェネラティブコレクションも控えておられ、注目を集めています。
そんな尾花さんはこれまでどの様にして支持者を集めてきて、1ETH以上の二次流通をされるコレクションを生み出したのか。
今後、どの様にしてリアルとNFTを繋げていくのか、
これまでの活動から見えてきたNFTの可能性や本質、そしてこれからの展望をお伺いしたいと思います。
第六回PalClassはゲスト講師にRHCの尾花さんをお迎えします!
・競馬界といったこれまでにないリアル×NFTの可能性を開拓されていますが、実現可能なのか?またその将来性やWeb3/NFTとの相性は?
・騎手や馬主、業界関係者からファンといった、競馬界の人たちのNFTに対する反応は?
・本業である実業とNFTコレクション運営を並行して人気を上げていくことはかなり困難ですが、その秘訣は?
など、深く突っ込んでいきたいと思います!
皆さんぜひご参加ください :)